抗生剤のキノロン系。ひとくちにキノロン系と言っても、各薬剤はそれぞれ特徴を有している。どのように使い分けがされている(できる)のか。今回はそれについて解説していく。(ちなみに現在使われている薬剤は、正確にはニューキノロン系といわれている。それに対し、「オールドキノロン」も存在するが、キノロン系開発当初の、フルオロ基を含まないものをいう。)
まずはキノロン系ってどんな薬剤なのか。キノロン系は、細菌の増殖に必要な酵素を阻害して、殺菌作用を示す抗生物質で、呼吸器系感染症、尿路感染症、消化器感染症など、広く用いられる薬である。
各薬剤の解説
①レボフロキサシン(クラビット)
もっとも一般的に使われる。錠剤・散剤・注射剤と剤形も豊富で、グラム陽性菌・陰性菌ともに抗菌活性が高い。臓器移行性も良好であるため、多用されがち。故に耐性化が問題となっている。
②ガレノキサシン(ジェニナック)
グラム陽性菌への活性が、より高い。肺炎球菌をはじめ、咽頭炎・中耳炎・副鼻腔炎・気管支炎・肺炎など、呼吸器感染症へ適応。耳鼻科の先生がよく使用しているイメージ。
③モキシフロキサシン(アベロックス)
主に呼吸器感染症が適応。腎臓への負担が比較的少ないが、不整脈などの心血管系副作用に注意。
④トスフロキサシン(オゼックス)
唯一小児に適応が認められる。従来、小児に対してニューキノロンは、中枢神経症状(頭痛、めまい、意識障害など)や、関節・腱への毒性(アキレス腱断裂など)が問題となり、禁忌であった。現在も、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)やβラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)など、ニューキノロンを使用せざるを得ない積極的な状況が、使用理由として必要と思われる。
⑤シプロフロキサシン(シプロキサン)
緑膿菌(肺炎、尿路感染症などの起炎菌)に対しての活性が高い。
⑥パズフロキサシン(パズクロス)
キノロン系の注射剤の代表。副作用等の安全性が高く、抗菌活性も高い。使用場面は選択的。
まとめ
ニューキノロン系の薬剤について、それぞれの特徴をまとめた。副作用や開発経緯、耐性化など、詳細にはいろいろとあるのだが、簡単にまとめると上記の様に使い分けができる。